実家での石油ストーブは単なる暖房器具ではなく、家族の心とお腹を満たす「魔法の調理場」でもあった。
お餅を焼く真剣勝負や、学校で温めた牛乳の味。そして現代の密閉住宅とは違う、どこか大らかだった当時の「通気性の良い暮らし」の記憶。
懐かしい思い出とともに、現代で石油ストーブを安全に楽しむための注意点や、今なお色褪せないその魅力について綴る。
昭和の木造住宅と石油ストーブ、そして「通気性」の思い出
皆さんのお家のメインの暖房器具は何だった?
私の子供のころ、母屋の暖房器具は、炬燵と石油ストーブだった。
エアコン? そんなものはない。(年代物クーラーは仏間にあったけど)
冬の間は茶卓を炬燵に変更、朝一番に居間の窓側に置いてある灯油ストーブを点火。
その上に水の入った薬缶を乗せる。(【関連記事】昭和の卓袱台のある暮らし|ちゃぶ台を囲んだ三世代の記憶)
灯油ストーブは点火してから温まるのが早い。
しばらくすると、薬缶の口からは湯気と共に、しゅんしゅんと音が出てくる。
ちなみに我が家は竹小舞と砂壁で構成されている、築100年以上の古民家。
ネズミも虫も爬虫類もご自由に出入りできる通気性の良い家で、あちこちからスキマ風が吹いていたせいか、大人たちは換気を気にしていた様子はなかった。
窓がカビている様子もなかった。
そのおかげで風呂上りが寒すぎて、妹と競うようにストーブの前に転がり込んだものだ。
とにかく冬は家族みんなで居間に集まり、炬燵に入ってストーブの前で食事をし、寝転んだりテレビを見たりしてくつろいでいた。
ただの暖房じゃない!ストーブの上は「魔法の調理場」
ところで、ストーブの上に乗っているのは、薬缶だけとは限らない。
・湯豆腐。
・みそ汁。
・おでん。
・網の上で焼くお餅。
・酒のつまみのスルメイカ。
・アルミホイルで包んださつまいも。
ありとあらゆるものが、ふつふつと煮え、ぷっくらと焼けていた。

その中でもお餅を焼く時間は、ちょっとした真剣勝負だった。
網の上でじわじわと熱が通り、ぷっくりと膨らんでくるあの一瞬。
「あ、膨らんだ!」と思った瞬間に、無情にも表面がパチンと破れて、中からとろりと熱い中身が溢れ出してしまう。
もっともっと丸く、可愛く膨らんでほしかったのに。
理想通りの形にならなくて少しだけがっかりするのだけれど、結局は熱々を頬張って「美味しいね」と笑い合う。
そんな時間もセットで、ストーブの思い出なのだ。
さらに、ネットでストーブの上で作れる料理を探してみたら、他にも色々ある。
中でも、ローストビーフ、せいろ蒸しなどが気になった。
冷凍肉まん、ストーブで蒸しなおして食べるの、美味しそう…!
あと、もし今ストーブを使うなら、ポトフも作ってみたい。
ポトフって材料切って入れてストーブ上の鍋で煮込むだけの工程だし、食べたら体がポカポカ温まる。
味のベースがシンプルなので、お好みで辛味やスパイスも足せる。
もし大量に作って余ったとしても、カレーにもシチューにも味変できる。
一度に二度おいしい料理で、お得だ。
学校のストーブと、予想外の「捕獲大作戦」
ちなみに、小学校の石油ストーブの上では大鍋に湯を沸かして牛乳パックを温めていた思い出がある。
味はともかく、寒い冬に冷たい牛乳を腹に入れずにすんで、大変ありがたかった。
それに、なんだか特別感があってワクワクしたのもある。
ちなみに湯煎で温まった牛乳パックはぱんぱんに膨らんでいた。
ストーブには直接関係ない話だが、同じく小学校にてストーブ周りのサークルの中に飼育小屋の鶏やチャボを放り込んで写生大会をしたことがある。
飼育小屋に戻す際に、一匹脱走して近所の民家に逃げ込まれたので、そのお宅の人に許可を得てからクラスの皆で捕獲大作戦をした記憶がある。民家の方は爆笑していた。
石油ストーブを現代で楽しむための注意点
話が大変脱線してしまったが、とにかく石油ストーブはただの暖房器具じゃない。
たとえば安全面に気を付ければ、温かい料理が色々作れる。
もちろん、石油ストーブにもデメリットはある。
・換気が必要。特に最近の住宅は密閉性が高いため要注意。
・灯油買いに行くの面倒。我が家は祖父が荷車で買いに行ってくれていました。
・灯油注いだ前後がちょっと部屋が灯油臭くなる。
・小さい子やペットがいると危険。(サークル必須)
・火災の心配。(取り扱いには注意しよう)
・灯油を注ぐの面倒。我が家は寒い釜場に灯油缶があったのでなおさら面倒。
(【関連記事】薪で焚いた五右衛門風呂の記憶|昭和の暮らしと祖父の背中)
もし石油ストーブをお使いになる際は、以上のことに注意して快適なストーブライフを楽しんでくださいね。
私も、家の超近所で石油が手に入る環境になった時には、石油ストーブに挑戦します。
いつかは手に入れたい、憧れのアラジンストーブ
実家にあったのはオーソドックスな四角い形だったが、もし自分で買うなら違うものにしたい。
永遠の憧れ、アラジンの円筒形のストーブである。
なぜなら家の中ってどうしても直線で構成されたものが多くなるので、曲線のオブジェは貴重。
あのインテリアに馴染みやすい色、丸みのある形。
しかも円形なので360℃放熱してくれるし、レトロかわいい雰囲気がたまらないのだ。

追記
ところで記事の中で「石油」ストーブとか「灯油」とか表記揺れが激しいなと思われたそこの方、鋭い。
我が家は石油ストーブに使う石油をずっと「灯油」と呼称していたので、「使用してたのは石油ストーブだけど燃料は灯油」っていう認識なのです。
でも灯油も石油も同じ意味で使われるそう。だからこれでいいのだ。



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