祖母の梅干しと梅シロップ作り|種の中身「天神様」の注意点も

梅干しの画像 昭和の暮らし

 最近めっきり梅干しを買うことがなくなった。
 なぜなら、スーパーには私の好きな味の梅干しが置いてないから。
 何度か買ってみたけれど、焼酎の風味が勝ちすぎたり、甘みがあったり。
 私の中の「梅干し」って、やっぱり「おばあちゃんが漬けた梅干し」なのだ。
 そこで今回は、梅干しの話をしよう。

あの「しょっぱぁ」が忘れられない。祖母の梅干しと、種の中の「天神様」

 祖母の元気なころはジュウヤクのお茶を作るだけではなく、らっきょや梅干しも漬けていた。
 梅干しはいわゆる、「丁寧な暮らし」というイメージでよく出てくる「うめ仕事」のひとつだ。(【関連記事】ドクダミ茶の作り方|祖母が庭の薬草で教えてくれた昭和の知恵

 祖母の梅干しは紫蘇もたくさん入って、塩気も焼酎もバランスが良かった。
 大粒で、一つ口に入れるとじゅわっとしょっぱく、少し焼酎の風味があって、「すっぱぁ」と口がすぼみ、でも辞められない。
 ついつい、ひとつ、また一つ、と摘まんでしまう。
 最後の余韻まで味わいたくて、味がなくなるまで口の中で種を転がしていた。まるで飴のように。

 そうこうしていると、ふと疑問が浮かんだ。
「梅干しの種って、中はどうなっているのかしら」
 少しでも疑問に思ったことはやってみなくては気が済まない子供だった。

 というわけで、私はまず、梅干しの種に軽く歯を立ててみた。
 うん、硬い。固すぎる。このままでは歯が負ける。

 しかし諦めきれずに次の作戦へ。
 長時間口の中に入れておく。ふやけてやわらかくなってくれないかなと、子供ながらに健気に工夫してみたのだ。
 もちろん、ふやけるわけがない。
 (そもそも、こんなことをしていて梅の種が喉に詰まったら危険なので、真似をしてはいけない)

 そして根が単純な私は、歯でカチ割る原始的な方法に立ち返った。
 奥歯に挟んで思い切り力を入れる。そうだ、自分の歯を万力だと思い込むのだ!
 …バカみたいな時間だと思われるかもしれないが、本人は真剣だった。

 そしてとうとう、割れたのだ。梅干しの種が。
 中からは茶色い薄皮に包まれた、白い小さな実がコロンと出てきた。
 私はそれをまじまじと観察して、……満足したのでごみ箱にポイと捨てた。

要注意!梅の種の中身(仁)を食べてはいけない理由

 ちなみにちょっとした小話みたいに挿入したエピソードだが、注意点がある。
 梅干しの中身の白い実は、食べてはいけません!!

 福岡県薬剤師会:梅の成分「アミグダリン」についてから抜粋すると、以下のように書いてある。

梅の核(胚または仁とも言う)や未熟果実の青梅は、青酸配糖体のアミグダリンを含有し、梅の果実に含まれる酵素エムルシンやヒト消化管内で腸内細菌のβ-グルコシダーゼで分解されて青酸(シアン化水素)を生じ、中毒を起こすことがある。中毒症状は嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、めまい等で、多量に摂取すれば、けいれん、呼吸困難、意識混濁などを生じ、死に至ることもある。ただし、アミグダリンは果実が熟して来ると消失し、青酸による中毒の心配はなく、また梅干しや梅酒などの加工はアミグダリンの分解を促進するので、通常の摂取であれば心配はない。

 危なかった! 大変危なかったよ子供の頃の私。
 梅干しの状態だったが、何せ子供。何らかの影響があったかもしれない。
 苦労して割っておきながら観察するだけで満足するという中途半端な子供で良かった。

 ちなみに、梅干しの種の中の白い実。これは「仁(じん)」と呼ばれるそう。
「梅は食うとも核食うな、中に天神寝てござる」という言葉があるらしい。
 これは、生の梅の種(核・さね)には毒があるため食べてはいけないという戒めと、梅の種の中身(仁)を「天神様(菅原道真公)」に見立てた言い伝えを組み合わせた言葉。
 学問の神様である道真公が梅を愛した故事に由来し、種の中には神様がいるから罰が当たる、という教えなんだとか。

 子供の頃の私、もう少しで道真公のお怒りを買うところであった。

梅干し作りは挫折したけれど。初心者におすすめの「梅シロップ」に挑戦

 いつものことだが、話が大層脱線してしまった。
 梅干しの話に戻そう。

 とにかく祖母は毎年大量に梅干しを漬けてくれていた。
 子供の頃の私はその梅干しが大好物で、おやつ代わりにしたり、おにぎりにしてもらったり、お茶漬けに入れたりしてたくさん食べた。まあ、梅に貼り付いてくるシソはあまり好きではなかったけれど。

 もう一つ好きな梅干しの味がある。
 「従姉妹の父方のおばあちゃん」が作ってくれる梅干しである。
 これがまあ、塩気が強くて本当にしょっぱい。
 「酸っぱい」のではなく、「しょっぱい」のである。
 色も祖母の梅干しとは少し違って、赤みが強くて見た目からしてしょっぱそう。
 お味も、口に入れた瞬間「ひょぅッ」と肩が上がっちゃうくらいしょっぱい。
 しかしわかりやすい味を好む私は、この梅干しも大好きだった。味が濃いから最高に白米に合うのだ。

 一度、自分で梅干を作ってみようと思ったことがある。

 そのために作り方を調べてみたのだが、重石が必要でそれを消毒するという記述を見たあたりで「面倒だな」と思った。
 そして梅を大量に干さなくてはならないとあって「やっぱり梅干し作るのや~めた!」と諦めた。

梅干しの画像
↑こんなの現代の一般家庭で中々出来んじゃろ…

【保存版】失敗しない梅シロップの作り方とコツ

 …こいつ毎回「昔はよかった」みたいなこと書いといて自分では全然実践してないじゃないか。
 と、そろそろ呆れられるだろう。大丈夫、私も自分に呆れている。

 だが今回は少し違うぞ!

 なぜなら梅干しを諦めた私だが、代わりに梅シロップを作ったのだ。

 最初は梅酒にしようと思ったが、それだと子供たちが楽しめないので梅シロップにした。
 そうすれば子供たちは炭酸水と割って飲めるし、大人はお酒で割るとカクテルにもなる。デザートにもできるし。

 しかも、梅シロップは消毒するものが瓶だけでいいし、材料も揃えやすい
 ズボラな私でも投げ出さずに作れたので、我こそはズボラの民ぞと名乗る方にもお勧めしたい。

基本の材料(作りやすい分量)

  • 青梅:1kg
  • 氷砂糖:1kg(梅と同量が基本。甘さ控えめなら800g程度)
  • リンゴ酢または米酢:100〜200cc(発酵防止と抽出促進のため。お好みで)
  • 保存容器:3〜4Lサイズ。事前に熱湯・アルコール消毒をして清潔にしておく。

作り方の手順

  1. 下準備:梅を水洗いし、竹串やつまようじでヘタを取り除く。
  2. 水気の除去:清潔な布やキッチンペーパーで、梅の水分を1粒ずつ完全に拭き取る。水気が残っているとカビの原因になるため。
  3. 漬け込み:容器に梅と氷砂糖を交互に入れる。一番上が氷砂糖になるように重ねるのがコツ。お好みで酢を回し入れる。
  4. 保管と管理:冷暗所に置き、毎日1〜2回、瓶を回すように揺すって糖分を均一にする。
  5. 完成:7〜10日ほどで氷砂糖が溶け始め、約10日〜1ヶ月で梅がシワシワになったら飲み頃。

失敗しないためのコツ

  • 発酵対策:泡が出てきたり、アルコール臭がしたりするのは発酵のサイン。防ぐには、梅の重さの10〜20%の酢を加えるのが効果的。
  • 梅の冷凍:梅を一度冷凍してから漬けると、組織が壊れてエキスが早く抽出され、失敗しにくくなる。
  • 保存:完成後は梅の実を取り出し、シロップを弱火で15分ほど加熱殺菌すると、冷蔵で1年ほど保存が可能になる。

 その年作った梅シロップは子供たちに大好評。
 もっと作っておけばよかったと後悔するほど早く無くなってしまった。

 ちなみに、我が家はシロップを作った後は種を除き、果肉だけ煮込んで梅ジャムにした。これまたパンに塗ったり紅茶のお供にしても美味しいのだ。

 余談だが我が家はフルーツが余ったり傷みそうだった場合は、ジャムにしている。
 パンにつけたり紅茶のお供にしたり色々使える。

 スーパーで売ってるホイップクリームも一緒なら、フルーツサンドにしても美味しい。
 お餅や白玉にかけるだけで簡易型フルーツポンチっぽくなるので、果物がピンチは人はお試しあれ。

梅干しと梅シロップのよくある質問

  • Q:梅干しの種の中身は絶対に食べてはいけないの?
    A:生の青梅の種にはアミグダリンが含まれるため注意が必要ですが、梅干しとして加工されたものは毒性が低下しています。しかし、基本的には避けるのが無難です。
  • Q:梅シロップ作りで失敗しないコツは?
    A:一番の敵は水分です。洗った後の梅を一つずつ丁寧に拭くことが、カビを防ぐ最大のポイントになります。

理想の味を追い求めて。かつお梅も美味しいけれど……

 しかし、最近のスーパーにはあれほどの塩気のある梅が売られていない。
 世の中健康志向だからなのだろうか。それとも売り物にするためには塩分量とかの規定があるのかな。
 というわけで、なんだか満足できずに、長らく梅干を買っていなかった私。
 最近食べる機会があって、好きになったのはかつお梅である。
 酸っぱいとかしょっぱいとか、そういう枠を超えて思い出のものとは別物みたいな味なので、もう拘りとか関係なしで美味い。

 でも、やっぱり祖母の梅干しが恋しくなる時がある。 
 私もいつか重石とザルを買うところから始めて、自分好みの梅干しを作る日が来るのだろうか。

 …多分来ないな

<前の記事:石油ストーブは魔法の調理場|昭和の思い出と現代で楽しむ注意点

>次の記事:小鰯(こいわし)の刺身と祖母の思い出|広島でしか味わえない地元の味

コメント

タイトルとURLをコピーしました